ひじつざいせいしょうねん


都条例改正案「非実在青少年規制」について。


自分は以下の、大きく2つの観点から、この規制に反対の立場を表明しております。


(1)「規制」そのもののへの危険性。
 「規制」というものは、農薬と一緒です。
 害虫を駆除する為に用いますが、場合によっては、益虫や無害の生態系や環境も破壊します。強すぎる農薬は、それを口にする人間にさえもダメージを与えます。

 また、ひとつの規制は、さらに「ふたまわり広い自主規制」も、同時に生み出します。
 「この規制があるからには、ここまで配慮するべき」という、ひとまわり広いクレームは、必ず来ます。
 そして、そのクレーム対策として、さらもうひとまわり広い自主規制を送り手側がかけます。こうした「規制範囲の拡大」は必ず起きる事を想定に入れ、新薬の開発(=新たな規制)は、慎重の上に慎重であるべきと考えます。


 児童書で仕事をしてきた経験から申しますと、子ども向けの業界は、すでにがんじがらめ状態です。それは特に真面目に取り組んでいるところほど大ダメージを被ることを、経験上知っています。指の数、手つき、顔つき、からだつき、服装、場面等々、さまざまな細かい部分に非常な留意をせねばならず、描いているボクが「現実離れし過ぎなんじゃないか?」と心配するほど。このまま規制が進むと、キャラクターはすべて「擬人化した動物で」ということになりかねません。それが果たして、本来の趣旨たる「子どものため」になるのか。はなはだ疑問に感じます。


(2)「条例案」の中身
 条例案には、「想起する」「扇情的な」「みだらな」「またはそれに準ずる」といった、曖昧な表現が沢山あります。さらに「厳密な規制対象は、改正案が通った後構成される委員会で審査」といいながら、すでに「○○は規制対象外」という個別の断定もくだってます。それらは「規制の範囲」の定義として、大変問題があると思います。


 同時に「単純所持も規制対象」という点にも、非常に問題…というか、「危惧」さえ感じています。
 ボクは以前路上で「麻薬の取り締まりをしていますので、所持品チェックをさせて下さい。」と警官に呼び止められ、当然麻薬は所持してないので喜んで協力しました。が、カバンの底に、ビクトリノックス(スイス製の4徳ナイフ)があり、それを見咎められ、交番に任意同行。交番の奥で複数の警官に囲まれ、「貴様!さっきからヘラヘラしやがって!これは立派な犯罪なんだぞ!」と、机等をばんばん叩きながら怒鳴られ、所轄の警察署までパトカーで連行され、取調室で尋問を受けた事があります。
 そこでは「自分がいつか、そのビクトリノックスを使って殺傷事件を起こさないことの、証明」を求められましたが、当然無理です。大変恐ろしく、悔しい想いをしました。
 そうした経験から、法の恣意的な運用の可能性には、非常に厳しい配慮を求めたいと思ってます。




・・・上記(1)(2)を総合すると、この条例は「非常に強力な農薬」と、断じざるを得ません。よって、ボクはこの条例改正案は、白紙撤回すべきと考えております。


 一方で、小学生の子どもを抱える父親として、「こういうものが子どもの手の届く範囲にあるのは、良くないなあ」と感じる事もあります。「安全な場所に、危険なものは置かない」という観点から、販売場所等の「区分け=ゾーニングの必要性は感じています。(これもまた、真面目な店舗等では、すでに自主的に実施されてますね。)


 尚、以上の論旨は、農薬そのものを否定しているものではございません。有効な効果を生み、限定的な範囲での運用が保証されてる農薬は、アリだと思っております。あらゆる規制も同様に。


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